よしなしごと

よしなし‐ごと【由無事・由無言】つまらないこと。益のないこと。たわいもないこと。とりとめもないこと。

映画『歩いても歩いても』を観てきました。目的はもちろんお料理のシーン。

映画のはじまりがまたよいのです。何かをささがきにしている包丁の音。ささがきと言えばごぼうだけど、ごぼうとはちょっと違う、もう少し硬質な音。何だろうと思っていると、にんじんのささがきだったのです。それから豚の角煮、枝豆とみょうがのごはん、とうもろこしのかき揚げと、お母さん役の樹木希林さんと娘役のYOUさんが、ホントの母娘のようにユーモアあふれる、それでいてちょっぴり意地悪な本音トークが交わしながら次々と料理ができあがっていくのです。そうそう、料理って、音もご馳走だよね、野菜を刻む音、ぐつぐつ煮える音、何かを混ぜる音、そして効果的に使われていたのがとうもろこしが油の中で爆ぜる音。気むずかしい屋のお父さん(原田芳雄さん)は、家族や孫が集まってうれしいくせに部屋に引っ込んでいるんだけど、その音に誘われるように台所に顔を出すのです。なんともチャーミング。

映画は、にぎやかな昼食やおやつのシーン、明るい姉一家が帰って年老いた両親と次男(阿部寛さん)家族だけになって、ほんの少しさみしくなった夕食、その対比を浮かび上がらせながら進んでいく、そして、翌日の海岸への散歩。『歩いても歩いても』というタイトルは「歩いても歩いても、追いつかない」、「歩いても歩いても、目的地が見つからない」など、次の言葉が続くんだと思うけど、その次の言葉は観たヒトがそれぞれに課題として考えていくことなんだなあ、と思いました。


というわけでさっそく作ってみた枝豆とみょうがのごはん。みょうがの香りとほんのり塩味の枝豆がアクセントとなって夏らしいさっぱりした混ぜご飯でした。とても美味しくて我が家の定番入りに決定。映画に登場する料理のレシピはこちら