よしなしごと

よしなし‐ごと【由無事・由無言】つまらないこと。益のないこと。たわいもないこと。とりとめもないこと。

8ヶ月ぶりに博多に行ってきた。身近なようで全然知らない街。全然知らないのに縁のある街。この感覚、不思議だな〜。

金曜日は街歩き。もうずっと忙しい日々を過ごしていて、梅田へ自分の服を見に行く時間さえない毎日だったから、日常の買い物を博多に来てしているなんて、ますます不思議だった。夜はテツが「稚加栄」へ連れて行ってくれる。生け簀から魚をすくい上げる様子が面白くて、若い板前さん見習いが網を持って登場するたびに、鯛だ!河豚だ!鯵をあんなにたくさん!なんてはしゃいでしまう。二次会は名物の屋台へ。おでんにラーメンに串焼きに餃子に、あんなに小さな空間に何でも揃っている小宇宙。お客さんと店主の会話はもちろんダイエーホークスの話題。あのチームはほんと福岡で愛されてるね。

土曜日は、阿蘇山経由で湯布院へ。私の中での阿蘇のイメージは「どこまでも続く緑の山肌、真っ青の空」だったんだけど、3月の阿蘇は「所々黒こげになった茶色の山肌、しかも雪! しかもチョー寒い!」であった。それでなくても暖冬で雪に縁のない冬を過ごしたのに、3月も終盤になって、しかも九州でこんなに大量の雪を見るとは!! とはいえ、ぐるっと続く外輪山。ギザギザと切り立った崖にかこまれた中岳。雄大で圧倒されるような風景はほんとうにすばらしかった*1。そうそう、お昼に立ち寄った「小次郎渕」という肥後牛を食べさせるお店もすばらしかったです。阿蘇に行かれた時は是非!

日曜日の午後からは散歩がてら薬院のケーキ屋さんへ行ってみた。「16区」はイメージしていた通りの清潔で明るく活気のあるお店。厨房ではたくさんの職人さんが忙しく働き、店員さんはテキパキと愛想よく接客し、お客さんは全くとぎれることがない。焼菓子、生菓子が次々と売れていくからお店中の商品がなくなっちゃうんじゃないかと心配になるくらいだった。客層は年配から家族連れ、若いカップルと広い。ケーキの一つ一つは小さくて上品、お値段も高いけれど、上質でしっかりと作ってあって納得のお味。来週から作り始めるというブルーベリーのパイは魅力的だったなー。ちなみに元祖の「ダックワーズ」はまあまあ。もう少しサンドしたクリームがたっぷりだったらなあ。

引き続き、歩いて3分もかからない場所にある、「LE K(ル・カ)」へ。お店のサイトで予習はしてあったけれど、実物の生ケーキを見て驚いた。なんとも元気いっぱいのケーキ達! 特に「あまおうイチゴショート」のすばらしいこと。大粒のイチゴがどんどんどん!と載せられたその姿は、従来の「いちごショート」のイメージを打ち破る大胆な、それでいてケーキ好きの血を騒がせるデザインなのであった。2階の「セ・トレボン」のパンはよい小麦の香りでいっぱい。厨房の職人さんはほとんどが女性で、これまた好感度100%。こちらの2店は圧倒的に客層が若いのが興味深かった。

他にも、蜂蜜専門店や水炊きの名店、トンカツ屋さんなのになぜかチャンポンが美味しい店(これはテツの情報)とか、古い日本家屋を上手に生かしたカフェとか、住宅街なのに趣のあるお店がたくさんあって、薬院はなかなかに面白いエリアであった。

月曜日、朝一番の飛行機(ANAボンバルディア)で帰阪。この飛行機でなきゃ仕事に間に合わないんだから選択の余地なし。いろいろ盛りだくさんの博多行き(あ、もちろんマンションの掃除もしましたよ。少しだけだけど)だったけれど、実のところ、気持ちを整理したり、確認したり、踏ん切りをつけたりできた、時間だったような気がする。なんとなくだけれど。

*1:超広角のレンズがあればなあという思いが横切ったけど、この寒さではカメラを構える余裕すらなかったと思われる。