よしなしごと

よしなし‐ごと【由無事・由無言】つまらないこと。益のないこと。たわいもないこと。とりとめもないこと。

週末に上京してきた。この旅にはちょっとした任務があったんだけど、それはそれとして、この旅は最初から最後まで楽しもうと決めていたので、新幹線での移動や、初めて乗る電車、ホテルでの食事、それらのひとつひとつの時間を愛しむように過ごした。

任務を終えた日曜日には、六本木に開館した国立新美術館に行ってきた。

この美術館のこと、開館記念の展示が「異邦人(エトランジェ)たちのパリ1900-2005/ポンピドー・センター所蔵作品展」であることを知った時は、その場に自分が行けるとは思ってもみなかったけど、チャンスというのはどういうふうに巡ってくるのかわからないものだ。京都で観たフジタの作品に再会できたのはなによりもうれしかったけれど、この企画展で一番感じたのは、パリという街の「懐の深さ」である。古都というとなんとなく閉鎖的な街というイメージを持ってしまうのだけど、この街はなんと多くの異邦人たちをすばらしい芸術家に育てたことだろう。確かにパリはそれだけの力を持っているのだと思う。

美術館のあとは少し足を伸ばして六本木ヒルズへ。以前訪れた時のような観光地的な混雑はなくなっていて、その分、あれこれ見て歩くには快適。当時長蛇の列だったトラヤカフェに客は一組しかおらず、のんびり煎茶とクリーム白玉汁粉でひと休み。けやき坂を行き交う人はまばらで、ここが東京の有名スポットであることを忘れてしまいそうなくらいの静けさだった。

そうそう、国立新美術館は、都知事選への出馬で話題になっている黒川紀章氏の設計。近未来的な建物はすばらしくて、異次元の世界へ迷い込んだような心地がした。ここでお昼が食べられたらと思っていたポール・ボキューズのレストランは超・超・超・長蛇の列で(なんてったって、そのお手頃値段は魅力)、あきらめざるを得なかったのが残念と言えば残念。

手前の台座の上がポール・ボキューズのレストラン、奥がティーサロン、一番下に見えるのがエントランスのカフェ。