よしなしごと

よしなし‐ごと【由無事・由無言】つまらないこと。益のないこと。たわいもないこと。とりとめもないこと。

プライス・コレクション/若冲と江戸絵画展@京都国立近代美術館へ行ってきた。

個々の絵はもちろんすばらしいんだけど、ちょっと後ろへ引いてみると、これだけのコレクションを個人で持っているというのはやっぱりすごいなあと思う。こうして見いだしてくれたヒトがいたからこそ、その価値が見直され、作品を散逸させずにすんだんだなあと感謝すべきなんだろう。それが日本でなくアメリカにあるのはちょっと残念だけれども。話題の若冲に関しては、描写の細かさとダイナミックで動きのある構成がとても目を引く。けれど、「すべてを描かないで余白を楽しむ」タイプの作品が好きな私としては、ちょっと疲れるかな。自然光での展示(酒井抱一の「十二か月花鳥図」)はとてもおもしろかった。こういう企画はどしどしやってほしい。本来はこういう光のもとで見る性質の作品だから、一番自然な姿なんだろうなあと思う。薄暗い展示室では「芸術作品」という気取ったお化粧を施してる感じだけど、自然光だと「素顔の私」って感じでね。

せっかくだからもう少し江戸絵画を楽しんでいきましょう、ということで、琳派展IX「江戸琳派 抱一・其一の粋」@細見美術館

プライス・コレクションを見ていて、「この作品好きだわ〜」と思って見ているとそのほとんどが鈴木其一だったから、ゆっくりじっくり其一の作品を見られて大変幸せでございました。細見美術館は小さな展示室3つの小さな美術館だけど、好きな空間。展示室を移動する時に外に出たりするのは絵を見ている気持ちが分断されるようで、それはちょっと残念な点。

それはそうと、ここで作品を見ていると、年配のおじさんから、「お若いのに熱心に見ておられますなあ」と声をかけていただいたのだ。「お若い」ですってー。そりゃおじさんに比べたら若いけど。でもうれしかったです。でへへ。

若冲といえば、皇居・三の丸尚蔵館での展示が見られなかったのがとても残念だったのだけど、なんと来年、相国寺承天閣美術館で「若冲動植綵絵展」が開催されるとのこと。

「120年ぶりの再会」とあるのは、相国寺が寺の困窮を救うため、この動植綵絵30幅を皇室に献上したことを指す。里帰りなわけですね。きっと若冲先生も喜んでくれるでしょう。楽しみ、楽しみ。