よしなしごと

よしなし‐ごと【由無事・由無言】つまらないこと。益のないこと。たわいもないこと。とりとめもないこと。

ようすけを迎えたのは2年前の5月。その半年くらい前からヨウムのヒナを探してもらっていたんだけど、鳥インフルエンザの影響もあって、なかなか出会えないでいた。そんな時、ふと立ち寄ったペットショップ(イヌ、ネコがメインで、金魚から昆虫まで扱うお店)に、その子はいた。干し草を敷いた水槽の中にちょこんと入れられていたのだ。まだ目が黒くて、すぐに幼鳥とわかった。それからはこの子のことが頭から離れなくなった。1週間後、仕事でその店の近くまで来た夫と待ち合わせて、2人で会いに行った。その子は新しい大きなケージに移されていて、きょとんとこちらを見上げた。そのひとみのつぶらなこと。でも、まだ決心が付かなかった。翌日、相生にある大型インコの専門店に行ってみた。その店と相生の店とでは5万円近く値段の差があったからだ。相生の店には専門店とあって10羽くらいのヨウムがいた。けれど、なんとなくどの子も、うちの子じゃない、と思った。10羽ものヨウムを前にしても、水槽のたった1羽のあの子のことがしきりに思い出された。


こうしてようすけは我が家の子になった。


迎えたときはまだ差し餌だったため、それなりに大変だった。初めての大型鳥ということもあって、これまでの小さい鳥たちで培った経験はまったくといっていいほど役に立たなかった。ショップのお兄さんから、「この子は餌が冷めると食べないので、熱いと思うくらいのをあげてください」と言われたのだけど、ほんとうにそのとおりで、ちょっとでも冷めるとぷいと横を向いてしまう、あわてて暖め直すとまたんぐんぐと食べる。そんな調子で一人餌になるまでけっこう手がかかった。プロのお兄さんでさえ、「この子をここまでにするのは大変でした」としみじみ言っていたのを今でも思い出す。

それなのに、今の飼い主ときたら相当アバウトだ。飼い主が食いしん坊なため、たまにおやつのお裾分けなんてのがあるけれど、生活面では特別に気を遣ったりはしていない。それでもこれまで大きな病気もトラブルもなく毎日を過ごせているのは、これ以上の幸せはないと思う。ようすけのほうはどう思っているかしらん。新幹線や飛行機に乗せられたり、時に動物病院に長く預けられたり、まったく波瀾万丈な鳥人生だなあと思っているかもしれない。ヨウムの寿命を考えると、まだ、たったの2年。でも、ようすけにこの家に来てよかったと思ってもらえるように、これからもずうっっと楽しく一緒に暮らしていきたいと思う。



我が家に来たばかりの頃のようすけ。まだ目が黒くて、止まり木につかまっているのが精一杯という感じ。