よしなしごと

よしなし‐ごと【由無事・由無言】つまらないこと。益のないこと。たわいもないこと。とりとめもないこと。

職場の忘年会だった。来年度、教室の診療科で担当している検査機器が更新になることもあって、我が職場はどんどん活気づいている。これまで軽自動車でうんうん坂道を上っていたのが、次はベンツSクラスかBMWの7シリーズ、いややっぱりトヨタのレクサスだよな、みたいな感じ。それらをあてにしていろいろな部門からいろいろな個性の持ち主が集まってくることは、迎える方としては戸惑うことも多いけれど、にぎやかになることはやはりうれしいことである。けれども新しくこられるドクター達には、スポットが当たる以前から誰からも注目を浴びることもない時代に、地道にこの分野の研究を推進していた人たちがいることを忘れないで欲しいと思う。前の教授が別の大学に移り、今の教授が着任するまでの空白の期間、冬の時代だったこともある。その時代を乗り越えてきただけに、今のにぎやかさがしみじみとうれしい。

昼休みと家に帰ってからと、証人喚問の様子をテレビで見る。一番気になるのは姉歯建築士である。この人をテレビで見るたびに、「生きていない人」に見えて仕方ない。初めて偽装に手を染めた時に、建築士としての魂を売り渡してしまったように、人間としての魂もいつの間にかどこかに置き忘れてきてしまったかのようだ。