「パリと七つの美術館」
- 作者: 星野知子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2002/11
- メディア: 新書
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私はなぜ美術館に行くんだろう、私にとって美術館とはどんな場所だろう。きっとそれは「旅」なんだろうと思う。美術館の様々な作品は、私を世界中のいろいろな場所、様々な時代へ連れて行ってくれる。時には未来へも。現代作家の作品をみたときには特にそう。作品が放つ若々しいエネルギーをもらってこちらまで元気になる。同じ作者の作品をたくさんみた時は、その人の軌跡をたどっている気持ちになる。藤田の膨大な作品に接した時は、彼の人生の重みを受け止めきれなかった。絵をみるのは楽しいばかりではない。ゴッホの作品の前で苦しくて動けなくなったこともある。逆にカンバスの片隅に描かれた鳥や猫の表情に幸せにしてもらうことも度々だ。そういう力を持っている作品だからこそ、ずっと愛されてきたんだろうなあ。
さて、上記の本は解説というより紀行文といった感じ。全体的に律儀、まじめな印象(筆者の性格の反映であろう)で、良く言えば落ち着いた文章、悪く言えばワクワク感が伝わってこない。それが残念といえば残念だけれども、いつかはパリでのんびり美術館巡りをしてみたいと思わせてくれた本。