よしなしごと

よしなし‐ごと【由無事・由無言】つまらないこと。益のないこと。たわいもないこと。とりとめもないこと。

夏休みをとって、プラド美術館展へ行く。もちろん、目的は・・・・・この絵に会うため。



メングス、アントン・ファラエル 《大公女マリア・テレサ・デ・アウストリア》 1771年


この絵の主人公マリアは、3歳。当時の絵の形式で、3歳の割には大人びたデザインになっているけど、ピンクのほほといい、澄んだブルーの瞳といい、指といい、かわいいお姫様。すてきな宝石を身につけ、生まれながらの「姫」なんだな。ピンクのリボンが幼い雰囲気をよく表していると思う。

作品としては、マリアを引き立てるため、まわりは薄暗く仕上げられているんだけど、私にとっての主人公は、かごの中のヨウム



太めの止まり木、金属製の餌入れ、かご内部にぶらさげてある輪っかは、ブランコにしては細いから、ぶら下がって遊ぶためかもしれない。かごの底には抜けた羽とおぼしきものが描かれている。全体的にでっぷりと太ったヨウムで、足もがっちりと太い。きっと美味しいご飯をたくさんもらっていたに違いない。いまのヨウムはあそこまではまんまるじゃないな。片足を上げてニギニギしているのは、うちのようすけもよくしているポーズ。展示図録の解説に「オウム」と書いてあったのは想定の範囲内で、それはまあ許す。なにより、ヨウムが当時の宮廷でかわいがられていたんだなあと思うと感慨もひとしお。何語でおしゃべりしていたんだろうか。おちゃめなおしゃべりに、マリアも「きゃっきゃ」と笑ったこともあったろうと思うと、つい目尻が下がってニタニタとしてしまうのであった。