よしなしごと

よしなし‐ごと【由無事・由無言】つまらないこと。益のないこと。たわいもないこと。とりとめもないこと。

湯豆腐を食べに京都へ。せっかくなので銀閣寺を歩いてみる。青々とした苔、境内のあちこちに残る雪、南天の赤い実がたいそう美しかった。

 

南禅寺まで歩いて奥丹順生、と心づもりしていたのだけれど、待ちきれずに「哲学の道」の途中にある喜さ起に入ってしまう。玄関から奥の座敷は見えないが、混雑している様子。調理場そばの小さな部屋に通される。忙しく立ち働く話し声がひっきりなしに聞こえてくる。指示命令系統がめちゃくちゃのようで、若女将が店の女の子を怒鳴り散らしている。「◯◯ってゆうてるでしょう!」「◯◯したらよろし!」あまりにヒステリックなので、聞いているだけでもうんざり。終いには、「なによっ!どうして誰も返事しないのよ!」。そりゃそんな態度じゃ誰もこのお店のために心を込めて働こうなんて思わないよな、と思う。最初に頼んだビールは料理が出てからも来ず、「栓抜いてコップと一緒に持ってくるだけなのにね」「それがかなり難しいんだろ」となどと話す。当の女将さんに催促すると、「申し訳ありませーん、すぐに持って参ります」と客には愛想よく返事しておいて、奥に引っ込むと同時に、「もぉー、何やってるのよー」と怒鳴っている。あーあ、全部聞こえてるんだけどなあ。客がイヤな思いしてるってわかんないのかなあ。「湯豆腐を食べながら熱燗で一杯」を楽しみにしていた夫は、ようやく出てきたビールで足りたようで、日本酒まで到達できずじまい。多分、もう来ない。

法然院を散策してから帰る。少し風邪っ気が残っていたけれど、いい気分転換になった。

 

晩ご飯は、魚の切り身の粕漬けやみそ漬けにしてあるの(小川屋)を焼いたの、ほうれん草ごま和え、里芋と鶏手羽の煮物、壬生菜漬け物、牡蠣ご飯。