よしなしごと

よしなし‐ごと【由無事・由無言】つまらないこと。益のないこと。たわいもないこと。とりとめもないこと。

久々に更新。何年ぶり??

お遊さま [DVD]

お遊さま [DVD]

内容紹介
細雪」などで著名な谷崎潤一郎文学の映像化であり、京都を舞台にしていることもあって、背景にさりげなく桜並木を配置したりと絢爛豪華な作品でもある。見合いの場で男(堀雄二)が一目ぼれしたのは、見合い相手(乙羽信子)ではなく付き添いの姉(田中絹代)の方だった。それに気づいた妹は、男に形だけの夫婦になることを提案し、結婚するが、それは姉のことを思ってのことだった。やがて、三人で旅行をしたり、仲良く外出をする姿が他人の噂に上がるようになり、妹夫婦が自分のために犠牲になっていると知った姉は二人の前から姿を消すのだった。田中絹代の不思議な魅力が活きている。

テレビを付けたらやっていて、引き込まれるように最後まで見る。

日本のクラシック映画は、特に関心があるわけじゃないけど、見始めるとついそのまま見てしまうことが多い。小津安二郎の「東京物語」はそんな風にして3回は見たかな。

白黒映画なのに、日本の風景、衣装、暮らしぶりなど、美しくて見ほれてしまう。特に俳優、女優陣の立ち居振る舞いの美しさと言ったら!着物だからということもあるだろうし、当時の俳優さんはどう動けばきれいに見せられるかということを会得していたんだと思う。

あらすじについては、つっこみどころが満載で、たとえば、お静と見合いした慎之介は付き添ってきた姉の「お遊さま」に惹かれてしまう。それには慎之介が母を早くになくしてということが語られるわけだけど、どう見ても音羽信子演じるお静のほうが、可憐でかわいいのだ。お遊さま演じる田中絹代は、慎之介がそこまでほれ込むほど美しくはないし、魅力的には見えない、というか、おばさん、ですよ。溝口健二監督と田中絹代の関係を知る人にとっては、田中絹代=ヒロインという刷り込みがあって、抵抗なく話に入れるのかもしれない。

後半、何の説明もないまま慎之介、お静夫婦が貧乏生活を送っていたり、いきなり子供がうまれていたりと、話をはしょりすぎ?と思う場面もあったけれど、当時のお金持ちの遊興ぶり、部屋の設え、使用人を使う生活、新婚初夜を迎えるお静の着物姿、衣装やヘアスタイルなどなど、当時の暮らしぶりが伝わってきて、ストーリーとともに映像の隅々までとても楽しめた。この時代にこんなにすばらしい映画が作られていたなんて、ちょっと感動。

ラストは、蘆原で慎之介が謡曲を歌っているシーン。これにも唐突な感じがして面食らったけど、谷崎潤一郎の「蘆刈」が原作ということがわかって、ああやっぱりこれは谷崎ワールドだと納得、そして原作にがぜん興味がわく。早速読んでみなくては。能の「蘆刈」との関係は不明。

吉野葛・蘆刈 (岩波文庫 緑 55-3)

吉野葛・蘆刈 (岩波文庫 緑 55-3)