2月文楽第三部
上京のタイミングを迷っている間に、嶋大夫さん引退興行の第二部はあっという間に売り切れてしまいました。第三部のみ観ることに。義経千本桜は好きな演目。
嶋大夫さんの最後の義太夫は聴けなかったけど、弟子である靖大夫さん、睦大夫さんの奮闘ぶりがみられてよかった。引退の報道で、7人もの弟子を育てたことを知りました。呂勢大夫さん、芳穂大夫さん、、、好きな大夫さんばかりです。弟子を育てることは、ご自身が演じること以上に難しいことではないかと思う。それを7人もだから、すごい。
勘十郎さんの気迫あふれる知盛は、ずっと記憶に残りそう。人形の知盛が、人間の勘十郎さんよりもずっとずっと大きく見えました。
知盛の悲愴な最期を、道行初音旅の華やかさが和らげてくれて、幕。大満足の舞台でした。
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母が亡くなって10日、ひとりで歩いているとき、ひとりで運転しているとき、気づくと母のことを思い出している。
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「蘆刈」を読んでみた。
- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/06
- メディア: 文庫
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ひらがな多用の句点なしで、最初は読みづらかったけど、慣れるとすうっと文章が身体にしみいってくる、流麗な文体。時々文節がわからなくなって読み返したりしつつ、でも、美しい日本語だなあとしみじみと読む。
谷崎自身ががふと思い立って山崎(京都府)の川辺に出かけるという紀行文のような書き出しで始まり、そこで出会った見知らぬ男性から映画「お遊さま」で描かれたあの世界が語られる。紀行文と小説が一体化したような、夢でもない、うつつでもない、まるで夢幻能を見ているよう。複雑で入り交じった愛情が不自然でなく細やかに描かれるのはさすが。屈折した愛情が時に不気味に感じつつも、でも物語の本質はゆがんだ関係ではなく、そのような幻想的な世界なのだろうと思う。そもそも谷崎が出会う男性自体も幻だったのかもしれない。
そして、映画の「お遊さま」はこの「蘆刈」を見事に映像化しているなあと思った。お遊さまの贅沢三昧な遊興ぶり、生まれながらに美しく完璧に生まれついた女性の、無邪気に無意識に周りの人をかしずかせてしまう、その残酷さ、そしてまた、周りの人たちが何の抵抗もなく、というよりむしろ喜んでそういうお遊さまを受け入れてしまう様が見事に描かれていた。ただ一つ、お遊さま役の田中絹代はやっぱり失敗だったかなあ。お遊さまの美しさを谷崎は「蘭(ろう)たけた」と表現しているんだけど、表面の美しさだけでなく、存在するだけで惹きつけられてしまう強烈な磁場が映像の「お遊さま」には欲しかった、って、じゃあ誰だったら適役だったのかと言われると、思いつかないけど、とにかく、お遊さまの美しさは映像では重要なファクターだと思う。
ちなみに、お遊さまは谷崎最後の妻となった松子夫人の人柄からインスピレーションを受けて生まれた作品とのこと(巻末の解説より)、それを知って読むとまた一段と味わい深い。
あ、あと、岩波文庫の、この本の挿絵は単純な線画なんだけど、とてもよいです。
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久々に更新。何年ぶり??
- 出版社/メーカー: コスモコンテンツ
- 発売日: 2011/02/26
- メディア: DVD
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内容紹介
「細雪」などで著名な谷崎潤一郎文学の映像化であり、京都を舞台にしていることもあって、背景にさりげなく桜並木を配置したりと絢爛豪華な作品でもある。見合いの場で男(堀雄二)が一目ぼれしたのは、見合い相手(乙羽信子)ではなく付き添いの姉(田中絹代)の方だった。それに気づいた妹は、男に形だけの夫婦になることを提案し、結婚するが、それは姉のことを思ってのことだった。やがて、三人で旅行をしたり、仲良く外出をする姿が他人の噂に上がるようになり、妹夫婦が自分のために犠牲になっていると知った姉は二人の前から姿を消すのだった。田中絹代の不思議な魅力が活きている。
テレビを付けたらやっていて、引き込まれるように最後まで見る。
日本のクラシック映画は、特に関心があるわけじゃないけど、見始めるとついそのまま見てしまうことが多い。小津安二郎の「東京物語」はそんな風にして3回は見たかな。
白黒映画なのに、日本の風景、衣装、暮らしぶりなど、美しくて見ほれてしまう。特に俳優、女優陣の立ち居振る舞いの美しさと言ったら!着物だからということもあるだろうし、当時の俳優さんはどう動けばきれいに見せられるかということを会得していたんだと思う。
あらすじについては、つっこみどころが満載で、たとえば、お静と見合いした慎之介は付き添ってきた姉の「お遊さま」に惹かれてしまう。それには慎之介が母を早くになくしてということが語られるわけだけど、どう見ても音羽信子演じるお静のほうが、可憐でかわいいのだ。お遊さま演じる田中絹代は、慎之介がそこまでほれ込むほど美しくはないし、魅力的には見えない、というか、おばさん、ですよ。溝口健二監督と田中絹代の関係を知る人にとっては、田中絹代=ヒロインという刷り込みがあって、抵抗なく話に入れるのかもしれない。
後半、何の説明もないまま慎之介、お静夫婦が貧乏生活を送っていたり、いきなり子供がうまれていたりと、話をはしょりすぎ?と思う場面もあったけれど、当時のお金持ちの遊興ぶり、部屋の設え、使用人を使う生活、新婚初夜を迎えるお静の着物姿、衣装やヘアスタイルなどなど、当時の暮らしぶりが伝わってきて、ストーリーとともに映像の隅々までとても楽しめた。この時代にこんなにすばらしい映画が作られていたなんて、ちょっと感動。
ラストは、蘆原で慎之介が謡曲を歌っているシーン。これにも唐突な感じがして面食らったけど、谷崎潤一郎の「蘆刈」が原作ということがわかって、ああやっぱりこれは谷崎ワールドだと納得、そして原作にがぜん興味がわく。早速読んでみなくては。能の「蘆刈」との関係は不明。
- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/06
- メディア: 文庫
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ユーハイム本店のティーサロンに置いてあった本。
- 作者: 頴田島一二郎
- 出版社/メーカー: 新泉社
- 発売日: 1973
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地元の図書館が所蔵していたので、さっそく借りて読んでみました。なんといっても興味を引いたのは、ユーハイムの創業者、カール・ユーハイムがドイツ人捕虜として中国の青島から大阪の捕虜収容所に連行され、やがて、似島(広島県)に移され、そこでバームクーヘンを焼いたのが、日本で初めてのバームクーヘンであるらしい、ということ。そして、そのバームクーヘンは、なんと広島県物産陳列館(今の原爆ドーム)で開催された捕虜による作品展示即売会で販売されたらしいのです。また捕虜収容所では同じく神戸のパン屋さんフロインドリーブの創業者ハインリッヒ・フロインドリーブも一緒だったそうで、この物産展にはフロインドリーブのパンも出品されたとのこと。。。
第一次大戦後、カール・ユーハイムはドイツに帰国せず、まずは銀座で菓子職人として働き、横浜に自分の店を持つも関東大震災で壊滅的被害を、神戸に移ってから元町でお店を再開させ大繁盛させても、第二次世界大戦の空襲で全焼。。。なんという苦難の連続だったかと胸が痛みます。晩年精神を病んでしまったのも本当に過酷な運命だったと思う。
テレビや雑誌で新進気鋭のパティシエ達が続々と紹介されるような時代になったけれど、ユーハイムと聞くと多くの人がバームクーヘンやフランクフルタークランツを思い浮かべるように、ユーハイムの名前とそのお菓子たちはずーっと生き残っていくんじゃないかなと思う。日本にユーハイムというブランドが定着し、多くの人から愛されていること、天国のふたりに届いているといいなあと思う。
参考記事:
- wikipedia:ユーハイム
- wikipedia:似島(捕虜収容所に収容されていたカール・ユーハイムが日本で初めてバームクーヘンを焼いたことから、「似島は日本におけるバームクーヘン発祥の地」と言える。)
- wikipedia:原爆ドーム(ドイツ物産展でユーハイムのバームクーヘンやフロインドリーブのパンが販売された。)
- カール・ユーハイム物語概略:http://blog.goo.ne.jp/ota416/c/28d781ff8d25700b7a875e13b9df2bb9/(上記の本を元に、カール・ユーハイムの軌跡がわかりやすくまとめられています。)
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NHKの番組、歴史秘話ヒストリアにも取り上げられました。
焼け跡とバウムクーヘン〜あるドイツ人夫妻の苦難と愛〜(平成22年1月13日放映)
http://www.nhk.or.jp/historia/backnumber/30.html
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晴天に恵まれた10月のある日、神戸へ遊びに行ってきました。まずは北野の異人館を見学〜。
上から順に、風見鶏の家、萌葱の館、うろこの家。もし住むならどれにする〜?なんて真剣に考えたりしつつ。
お昼は、久しぶりにひげちょうのるうろう飯。台湾の匂いがする〜〜〜、のです。デザートはもちろん愛玉子。
三宮のセンター街をのんびり歩いてこれまた久しぶりの南京町へ。
中華食材のお店。これはいったい何に使うんだ? どうやって料理するんだ?というものがたくさん。時節柄買ってみようとはちょっと思えないんだけれども…。
子供服や子ども向けの雑貨を売るお店。ちょっぴり香港チックなディスプレイ。
元町商店街のユーハイムでお八つ。2階の喫茶室では焼き立てのバームクーヘンを食べることができます。こうしてワゴンで切り分けてくれるのです。
ザーネ(泡立てた生クリーム)を添えて出してくれます。やっぱりドイツ菓子のお店だわ〜と思う。
こちらはアクアがオーダーした、アイスクリームにダークチェリーのホットソース(ほんのり赤ワイン風味)かけ。
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見るものも食べるものもすべて異国風で、ちょっとした世界旅行気分でした。手軽にこんな風に楽しめるなんて、神戸ならでは。こんなにステキな街が近くにあるんだから、もっといろいろ楽しんでみたいなぁと思ったことでした。